ソフビ制作の現場【城南村田ホールディングス】様に訪問をさせていただきました。

株式会社城南村田ホールディングス様はプラスチックトレイから、ソフビ人形に主力事業を転換し現在数多くの作家、企業とソフビ制作に携わっている。
株式会社城南村田ホールディングス様ホームページ

ソフビマニア
青沼社長、本日はインタビューのお時間をいただきありがとう御座います!
早速なのですが、ソフビ制作における城南村田ホールディングス様の強みを教えていただけますか?
城南村田 青沼社長
うちの強みは、ソフビに特化してないという部分ですね。いろんな製造に携わってるので、ソフビしか見てないわけじゃない。
だから、他の視点からもソフビを見れるっていうところが強みなんじゃないかなと思ってます。城南村田って会社の元々は紙の問屋から始まっていて、その次に真空成形の金型を作っています。
真空成形でできてるものはコンビニのお弁当とか、お惣菜のパッケージとかですね。
ギフト用のお菓子の詰め合わせ用のトレー、そういうもの作りをやってきてたっていう経験があったりします。
北海道の子会社の方ではもう全然違う。鉄鋼業がメイン。素材もそもそも違う。
埼玉にある子会社である(有)大樹は、真空成形を城南村田から事業譲渡してますけど、元々は抜き型って言われてる、カッターナイフの様な刃をある所定の形状に曲げて、かなり精密な抜き型を、作っています。
うちはそういう全然違ったものづくりを経験してる中で、どうやったらこのソフビにいいものを作れるのかってことを考えている会社ですね。
いろんなものづくりに関わっているところが、そこがやっぱりうちの強みなんじゃないのかな。

ソフビマニア
ソフビ制作を検討しているお客様の要望に合わせて、提案力があるということでしょうか?
城南村田 青沼社長
そうですね。我々としては、お客様がどういう物を作りたいのかということを理解して、「こういうやり方もあるよ」っていうのを提案できるのはすごく大事なことだと思っています。
うちでは毎月2日間の研究開発を行う日って決めてて、その日は製造しない。
その日は「こういうことやったらどうなるんだろう?」っていうことを、色々試して、その結果として経験値が積み重なってくれば、「これってこの前試したやり方が応用できんじゃないの?」ってアイデアに、つながる可能性があると思います、そういうノウハウ的なものを蓄積していくってことを大事にしています。

当日版権と通常版権

ソフビマニア
御社のホームページに記載があった商品の著作権についてお話聞きたいんですけども、この取り扱いっていうのは、ワンダーフェスティバルのような当日版権とは別の話でしょうか?
城南村田 青沼社長
そうですね。当日版権はある意味ゆるいじゃないですか。
当日版権を出して、NGになることってあまりないんじゃないかなと。
事前に申請をして、「これは大丈夫だよ」という流れで期間限定で販売できる。
通常に版権とる場合は、我々が想像してる以上に版権元が想定してる世界観が大切になってくると思う。
その点は我々が想定するものと、版元が想定してるものの擦り合わせが必要、そういったところを注意しています。

ソフビマニア
依頼者が個人であれば城南村田様で版権元とのやり取りは巻き取る感じでやられてるということでしょうか?
城南村田 青沼社長
SNS1つにしても、例えば「こういうのをアップしたいです」となると、それこそ1ヶ月前に来月これぐらい出したいんですけどみたいなものを前もって申請をしないといけない。
先方(版権元)も内容を確認する時間が必要じゃないですか。

ソフビマニア
そう考えると、版権ってなると、個人で版権取られてるって珍しいことなんでしょうか?
城南村田 青沼社長
いや、個人でもとってる人もいると思います。ただ、どこまで細かく対応しているかどうかはわからない。

ソフビマニア
そういった対応費用はどう計算されるんでしょうか?
案件ごとに変わってくるって感じでしょうか。
城南村田 青沼社長
一概には言えないですね。それこそSNSだっていくつ投稿したいかにもよるでし、内容にもよるでしょうし。
直接的にお金がかかるかっていうと、直接お金はかからないです。
ただ、そこに携わってる人の時間分のお金はかかります。
それ以外にも、社内的に知的財産権の勉強会とかやったりとか、その勉強会に参加した時間っていうのは お金を生む時間じゃありません。
著作権の勉強もします。うちの社員は2人かな。2人は定期的に外の勉強会に出席してます。
研修は重要ですからですね。

制作範囲

ソフビマニア
企画〜販売までのお話なんですけれども、御社は基本的に原型も作られてて、成型と彩色、組み立てとかソフビ制作についての丸ごと対応できますという体制なんでしょうか?
城南村田 青沼社長
金型以外は対応していますね。
ただ、原型によっては例えば作家さんと仕事をしようと思えば、作家さんが作った原型じゃないと意味がない。
例えば原型を作ってもらったものを3Dでスキャンしてプリントアウトするような形でコピーをする。基本はその作家さん、あとはこれを3Dスキャンしてデータを起こす。

ソフビマニア
なるほど。3Dデータに納品形式に指定はあるのでしょうか。
城南村田 青沼社長
原型師さんや作家さんから納品してもらう時の指定の形式はOBJデータかSTLデータで納品をいただければ問題ありません。

制作期間

ソフビマニア
制作期間についてお伺いしたいのですが、大体1つの作品について、個人の方が問い合わせしてからどれぐらいで1つの作品出来上がるのでしょうか?
城南村田 青沼社長
原型があったとしても半年ぐらいですね
原型があって、金型を作る際にその原型をどうばらしますかという話になるんで、制作者が「ここに線入れたくない。」となった場合、ぢじで分割するか、検討しないといけません。
そのソフビごとに形がちがって、成形する制約もあるんで、物理的にもうここで切るしかないとか、形状によって変わってくるんですよ。
まずどこで分割するのかっていうのをこちらの方で提案をして、「分割したらここに線が出ちゃうけどいいか」っていうことを確認しないといけません。
そういう確認作業だけでも1ヶ月はかかりますね。
その確認が終わってから、今度はその金型の原型制作が始まります。金型の原型用の原型みたいなのを作るんですよ。
ここでもまた確認作業があったりとかで、全部オッケーになって、初めて形になるんですね。
それで金型を発注してから、短くても1ヶ月ぐらいはかかります、金型が工場に入って初めて成型条件出して、それから成形・彩色を行うのでもう大体やっぱり半年ぐらいはかかりますね。

ソフビマニア
私もワンダーフェスティバルで会った作家さんに聞くと、「もう利益とかじゃなくて、自分が作りたいから作ってるんです」という方がかなりいらっしゃっいました。
期間や工数なども度外視しないとソフビ制作は難しいですね。
でもやっぱり半年ぐらいかかるんですね。
城南村田 青沼社長
逆に言えば、そういう作家さんは自分が頭に思い描いた原型を作ってるじゃないですか。
それで、作ってみたらなんかちょっと違うとか。
そういうのを修正したら原作を作るだけで平気で半年ぐらいかかりますね。
このやり取りがすごく多い。もう日々やり取りしてるイメージですね(笑)
もし金型があれば、「今回この色で何体作りたい」となった時、彩色のサンプル確認はお願いしますけども、それ以外ではそこまで時間がかかることはないんです。
原型の仕事ももちろんあるんですけど、原型がなくて新しく始める仕事が最近はポロポロと入り始めてるので、今言ったようなやり取りは、多分これまでよりは 増えるだろうなって気がしますね。

ソフビの多様性

ソフビマニア
ソフビの楽しみのひとつにギミックがあると思います。頭を外したら中にもう一つ頭があるみたいな、そういった面白いギミックがあるソフビが最近増えてるがするんですけども、そういったものを依頼されて、できるできないなどあったりしますか?
城南村田 青沼社長
うん、あると思います。
現場は現場で、これはできない、できるということの擦り合わせがあります。
素材がソフビだけじゃなくて、例えば「他の素材のパーツでもいいんですか」とかいう提案は、他のソフビのメーカーさんはなかなかできないと思います。
うちだったら、お金の問題を別にしても、「他の素材のパーツで行くっていう手もあります」というような提案はできると思います。
ただ、お客さんが良しとするかどうかは別です。
「成型できないんじゃないか?」っていうようなものでも、じゃあこれだったらいけるんじゃない。っていうのはあると思う。

ソフビマニア
そうなんですね。僕のイメージなんですけど、ソフビ制作の現場は熟練のスタッフの方々が制作されているっていうイメージがありました。
昔ながらの特殊な塗り方があるみたいな方が塗られているのかなって思ったのですが、そう考えると城南村田様は皆さんすごく若いですね。
城南村田 青沼社長
そうですね、ソフビ業界だと平均年齢見たら1番若いんじゃないかな。それぐらい若いと思います。

ソフビマニア
ホームページを見させていただくと、実績には取引先とか載せられないんでしょうか?
城南村田 青沼社長
例えば、同じキャラクターをA会社とB会社に出したとします。
その時にキャラがかぶったら、どちらかに嫌がる人がいるかもしれない。形状によって、ノウハウって言い方をしていいかわからないですけど、成型するにしても、コツがあるかもしれない。
うちが習得しちゃうと、そこのライバルメーカーの商品にそれが転用できちゃうかもしれない。
そういうのは結構メーカーさんによると思いますけどね。
制作事例は「こんなことできるんだ」みたいなのもありそうな気がするので、載せたいんですけど。
実績を載せられない理由は今言ったような理由と、あとさっき言った版権元の案件との話があって、なかなか難しいですね。

ソフビとものづくり

ソフビマニア
ありがとう御座います。ソフビの歴史を調べて見ると日本が初なんですね。
怪獣ブームとされる60年代に初期のソフビが作られて、今は世界でも作られてるっていうのがあると思うんですけど、私個人としては、世の中でソフビ需要が高まりつつあるという風に感じています。
昔からのファンもいらっしゃったり、ここ最近はまり出したみたいな方もいらっしゃると思うんですけど、ソフビ自体が文化として成り立ってるような感じになっているのでしょうか?
城南村田 青沼社長
はい、そうなってると思います。
僕は、やっぱりソフビっていうのは、人形じゃないんです。人形の中でもいろんな人形があって、ソフビっていうのは、いわゆるフィギアって言われてるものとはちょっと違うし、ドールって言われてるものともやっぱ違うしソフビは特別なものだと思う。

ソフビマニア
そうですね。御社のホームページに記載があったカルチャー、「面白半分」ということも書いてあって、好奇心が全面に押し出されてていいなと思いました。
城南村田 青沼社長
ものづくりって好奇心じゃないですか。
こうやってみたらどうなんだろうっていうのが、ものづくりの過程とか、例えば工程って言い方でもいいですし、効率っていう言い方でもいいですし、品質でもいいですよ。
そういうのをあげていくのっていうのは、やっぱり僕は好奇心だと思うんですよ。
もちろん、同じことをやり続けることによって、慣れて熟練していく。その熟練によって精度が上がる。半分の時間でできるようになる。
だけど根本的には「これまで全然できなかったことができるようになったよね。」みたいなのは、やっぱり好奇心だと思うんですよ。

ソフビマニア
世の中的に日本は世界には負けつつある。ものづくりのところで、世界に追い抜かれたということもあると思います。
ソフビ業界はそういった追い抜かれるということはあるのでしょうか?
城南村田 青沼社長
1周回って、僕はこれから日本は強くなっていくんじゃないかなと思います。ソフビ業界って、ちょっと前まで多分絶滅危惧種な感じだったんですよ。
昔からやってるソフビメーカーさんは、どちらかっていうと、家内制手工業に近かったです。
成型しかしませんっていうところも、お父さんと子供2人でやってる、そういったところもありまして、そういうところはどんどん縮小していった。
15年ぐらい前からだと思いますが、「意外と調べたら自分でもできんじゃないか」とか、いろんな理由で自分で作るようになり始めてる人たちもでてきました。
その人たちがある意味メーカー、製造まで含めてのメーカーになってきました。でもそういうところってやっぱり自分のものを作るのがメインです。
うちは基本ソフビを製造する工場なので、作りたいという人のものを受けて仕事をしています。
僕たちみたいなタイプの工場は多分すごい少なくなったと思います。
最近そういう新しい世代の人たちが少しずつ増えてはいるけれども、なかなか受注して作るっていう工場は増えてない。
それは未だにソフビ製造工場は中国がメインだと思うんです。
ただこれから先は、中国の人件費が上がってきたりとか。政治的なリスクだったり諸々あるんで、やっぱり昔ほど使いやすい状態ではないと思います。
あとは今の世の中は思考的に大量生産という感じじゃないと思うんですよ。例えばウルトラマンでも、小学生の子供がお父さん、お母さんに買ってもらうようなウルトラマンは600円ぐらいでありますよね。ああいうのは大量生産する。そうしないと安くならないので、多分中国とかで大量生産って形になると思うんですよ。日本だと人もいないので、なかなかああいうものを大量に生産するのは受注できない。
その代わりさっき言った作家さんじゃないですけど、こういうものを作りたい、100体だけ、そういう世界では日本が強いと思います。

ソフビマニア
なるほど。
城南村田 青沼社長
小ロットの生産っていうのは、やっぱりさっき言ったように打ち合わせも必要じゃないですか。密にその打ち合わせをしようっていうのは、やっぱ時間差がないとか、言語が一緒か、場合によっては直接来て見ることができっていう距離感とか、そういった諸々が結構大切な要素だと思います。

色の決め方

ソフビマニア
彩色のところで言うと、色の決め方ってどう決めるものなのですか?
色ってかなり幅が広いじゃないですか。
依頼の仕方として、参考のカラー、こんなカラーがいいみたいなものがあるんでしょうか?
城南村田 青沼社長
はい、色は作家さんと打ち合わせしながら決めます。
既製品で出せない色については、別途色を混ぜて作成しますね。

ソフビマニア
打ち合わせはここに来てするのか、それともzoomとかでもできるのでしょうか?
城南村田 青沼社長
普通にzoomとかで打ち合わせしますし、来てもらうこともあります、来たいっていう方もいるんで、それなら来てもらうし。やっぱり色なんかはディスプレイと実際見るのとでは違いますもんね。ちょっとやっぱりさすがに最初はお互い違う認識で話するんで、意味が通じてない事もあります。

ソフビマニア
そうですね。色は重要ですもんね。
城南村田 青沼社長
色は本当に。実際に見てもらうのが確実大切です。

ソフビマニア
ソフビ制作についていろいろなお話が聞けました。
本日は本当にありがとう御座いました。
城南村田 青沼社長
はい、こちらこそありがとう御座います。
なにかあればお気軽にお問い合わせ下さい。

株式会社城南村田ホールディングス様はプラスチックトレイから、ソフビ人形に主力事業を転換し現在数多くの作家、企業とソフビ制作に携わっている。
株式会社城南村田ホールディングスホームページ